歯科医院が増え続ける理由

ブラックの法則はFDI(国際歯科連盟)で葬り去られた。だが、日本ではごく一部の歯科医を除き、いまだにブラックの法則にしがみついて治療を続けている。なぜ、そんな情けない状態になっているのだろうか。

もし、歯科医の競争が激しくなったら、誰もが腕のいい歯科医のところに行こうとするに決まっている。そうすれば、大きく歯を削って歯の寿命を縮める歯科医と、なるべく現状を保存して歯を健康に保つ歯科医のどちらに患者が行くかは明白である。となると、歯科医のほうも患者に来てもらえるように、勉強に励まなくてはならなくなるはずだ。

ところが実際には、どの歯科医もほどほどに患者が来る現状に満足しており、そこから踏み出そうなどという勇気は起こさないのが一般的である。その心理はよく理解できる。では、歯科医の数は少ないのかというと、けっしてそんなことはない。町中を見渡してみると、美容院や理髪店の数に劣らないほど歯科医院がある。厚生省の調べ(1996年)によると、全国には5万9,367の歯科診療所があり、一日当たり約130万人が何らかの治療を受けている。

それだけあって、潰れたという話をあまり聞かないのは不思議である。潰れるどころか毎年増えつづけ、2000年の調べ(概数)では、全国で6万3,141ヵ所になっている。美容院や理髪店が多いのはわかる。髪は自然に伸びるものであり、客は何度もやってきて当然だが、歯科診療所の数が多いのはなぜなのか。

歯科医がいくら多くても成り立っているのは、一つには患者が繰り返し訪れるからである。もし、一回で完璧に治療できてしまったら、歯科医はあがったりである。本来ならば、医者と名のつく者は、病気が少なくなって自分たちの大部分が失業するような状態を願って仕事に励んでいるはずなのだが、現実には逆で、仕事を増やす、つまり患者を増やすことに熱心である。

— posted by Denis at 12:18 am