学校検診は諸悪の根源

その代表例が「学校検診」で、これは新しい患者を次々に掘り起こすためのシステムとなっている。「学校検診」によって、まったく歯に痛みを感じない大量の子どもだちが、毎年、虫歯と診断を下され、歯科に行くように命令されている。生徒に治療済み証明書の提出を義務づけている学校も多い。

学校も父兄もこれに疑問を感じていないようだが、学校検診というのは、歯科医の営業活動である。ここで患者を探し出してきて、自分たちのお得意さんになってもらう。そのためにも、一定の数だけ患者を調達してこなくてはならない。そうでなくては、予算を立てて検診する意味がないというものである。

というわけで、学校検診というのは、歯科に限らず、初めから「ひっかける」割合か決まっている。検診で病気を発見するのではなく、検診を受けさせることによって、ある一定の率だけ病気にしてしまう。これは、職場検診や人間ドックにも共通することである。

検診によって患者数は確保されて、歯科医は潤う。これで、歯科医は満足してしまい、向上しようという意欲を失う。そして、安易に歯を削る歯科医が何の苦労もなく生き残る。歯科医にとって、こんなに楽なことはない。当然、誰もが学校医になりたがるが、本人の希望で学校医になれるわけではない。学校医になるには、地元の歯科医師会の推薦がいる。

1997年、学校医の選定に政治が絡んで問題が起こった。三重県の津歯科医師会が会員の歯科医、約120人に「自民党の党員を集めなければ、学校医に推薦しない」という主旨の文書を出したのである。日本歯科医師会は自民党を支持しており、2万人の党員と100万人の後援会会員を集めなければならない。

日本歯科医師会は、これを各地方の歯科医師会に分担させている。自民党党員4人と後援会会員30人のノルマが課せられた津歯科医師会は、学校医の選定を利用して、党員集めをしようとした。だが、会員の歯科医たちから「思想信条を無視した脅しだ」と反発され、文書は撤回された。

歯科医は定収入と信用ほしさに学校医になりたがる。その私欲を利用して、歯科医師会は政治目的を達成しようとする。どちらも、何のために学校検診をして、子どもたちの口の中を診ているのかという本来の目的を見失っている。まさに、学校検診こそが諸悪の根源だと言ってよい。

だから、学校検診で虫歯だと診断を受けても、子どもが痛みを訴えていないかぎり、まず、進行止めを塗って様子をみたほうかいい。また、小さな虫歯を削ったときは、金属を詰めるのは極力避けるべきである。「乳歯はどうせ生え替わる」と、粗末に考える親や歯科医が多いが、乳歯の時期は、その後の人生を左右すると言っても過言ではないくらい大切なのである。

— posted by Denis at 12:31 am